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第7話

私は彼の首に抱きつきながらスマホを取り出し、彼の頬にキスをする瞬間に写真を撮った。

キスをしたその瞬間、凛の瞳がわずかに縮んだ。

「これをInstagramに投稿しないと、あなたが逃げてしまうから」

彼が反応する前に、私は素早く投稿し、その後、彼が持参した弁当を自然に開けた。

料理の香りが漂い、熱々のままだった。

大学時代に私が好きだった料理、焼き魚、焼きだんご、散らばった肉や野菜が、美しく盛り付けられていた。

私はもう一つの保温ボックスを覗き込んで、スープが入っているのを見つけた。

これらの料理を見て、私は少し驚き、目元が赤くなったが、ほんの一瞬ですぐに平常に戻った。

母は私が楽しそうに食事をしているのを見て、凛に感謝の気持ちを込めた笑顔を向けた。「牧野さん、気を使ってくれてありがとう。ちょうどゆいが何を食べたいか聞こうと思っていたところに、料理を持ってきてくれて」

「大丈夫ですよ、おばさん」凛は礼儀正しく笑い返した。

両親は私が食事している間に、凛をひそかに外に呼び出した。

「牧野さん、ゆいが最近事故を起こして、あなたを新井と間違えているの。彼女が迷惑をかけてしまったが、気にしないで。我々がなんとかするから」母が優しく囁いた。

「迷惑ではありません」凛はためらうことなく答えた。

しかし、凛は長居せず、電話を受けると会社に戻った。

次の日。

私と凛の写真がInstagramで急速に広まり、陽翔もそれを見た。

彼はちょうどホテルの部屋で目覚めたところで、昨晩の美咲との熱いキスを思い返していた。彼女を完全に手に入れられなかったのは少し残念だが、それもまた彼女の純真さを証明していると感じていた。

美咲はゆいより純粋で、何千倍も良い。

そのとき、彼のスマホが激しく震えた。

彼はとりあえず見てみると、大勢の人が彼にメッセージを送っており、友達の投稿を見ろと言っていた。彼が投稿を開くと、目を見開いた。

バン——

彼はスマホを粉々に投げ捨て、拳を固めて壁を強く打ちつけ、「くそっ!ゆい、このクソ!」と叫んだ。

彼の怒りは頂点に達していたが、怒りが収まった後、何とも言えない不安が心の中に広がっていった。この感情は、彼が榎本家に到着する頃には全身に広がっていた。

ゆいが彼に対して悪いどころか、むしろ最高だと確信していた。

ゆいは彼を愛し
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